からっぽハウスを読む技術、カスプとディスポジターとは?【占星術で星を読むコツ・1】

占星術 ディスポジター 占星術ガイド

占星術鑑定を請け負っていると、こんな感じの質問をされる事があります。

わたし、第7ハウスに星がひとつもないんですけど。やっぱり結婚できないんですかね・・・?

ホロスコープチャートでパートナーシップや恋愛をテーマにもつのが7ハウス。ここに星が1つもないと、自分は恋愛に向いてないんじゃないか?なんて思う方もいるようです。

他にも、社会的なキャリアをつかさどる10ハウスはお仕事がテーマの部屋、物質的な富や所有をつかさどる2ハウスは金運の部屋・・・なんて読み方をするのが一般的ですね。

わかる、わかりますよ。からっぽハウスの不安

私自身もギュギュギュギューっと星が寄り集まってるチャート持ちですから、自分の出生チャートはスッカスカのからっぽハウスばかりです。涙

しかし!

【何も星が入ってないハウス=そのテーマにまったく縁がない】というわけではないのでご安心を。
この出生チャートのからっぽハウスをどのように解釈していくか!?という星読みテクニックを学ぶことで、複雑なアスペクトを分析せずにサクッと簡単に【恋愛(結婚)・仕事・金運】なんてテーマを読んでいくことができます。

今回はからっぽハウスの使える星読みテク、  「カスプ」と「ディスポジター」 について学んでいきたいと思います!

ハウスの境目、カスプとは?

占星術の専門用語で、12の星座やハウスの境目の事を【カスプ】と呼びます。

ラテン語で「Cusp」と書き、日本語では「槍」や「先端」という意味になります。

からっぽハウスを読む技術のひとつ目はこの「カスプ」。

12個のハウスがそれぞれ始まるポイント=「ハウス・カスプ」がどの星座(サイン)に位置しているかで、そのハウスそのものの性質を読み解くことができるのです。

たとえば、「コミュニケーション」「表現力」をつかさどる第3ハウスの起点(カスプ)が牡羊座に位置してるよー!なんて場合は、話言葉や振る舞いが素早かったり衝動的だったり、ちょっと怒っているような感じだったり(笑)するという風に読めるわけですね。

こうやってハウス・カスプを読む際に注意したいのが、ホロスコープチャートの種類 について。

占星術で用いるホロスコープチャートを作成する場合に、どの種類のチャートを出すのか選択しますよね。

もっとも代表的なのは「プラシーダス(Placidus)」と呼ばれる種類のチャート。東の地平線(アセンダント・ASC)と太陽がもっとも高く昇るポイント(ミッドヘヴン・MC)を算出し4分割したチャートを、さらに「時間」を基準に3分割して求めた図となります。

出生時間がわからない場合にはソーラーサインハウス(太陽が入っている星座(サイン)を1ハウスとし、そのまま星座ごとに反時計周りにハウスを割り当てていく方法)や、イコールハウス(東の地平線であるASCから30度ずつ区切ったもの)が便利ですが・・・

ハウス・カスプを読む場合にはプラシーダス・チャートを使う のがマストです!(特別な理由がある場合はコッホもあり)

また、ハウスの位置は「時間」によって大きくズレます。出生時間を入力した場合のみ、ハウス・カスプを読むことができるので注意しましょう!

支配星とディスポジターの関係性とは?

続いて、からっぽハウスを読む技術その2は、【ディスポジター(dispositor)】

「配置」や「整理」、「処分」などの意味をもつ単語、「Dispose」から来ている言葉です。(最近のマンションのキッチンについてる、生ゴミを排水口で粉砕処理して流せる「ディスポーザー」も同じ語源ですね。)

まずディスポジターの説明をする前に理解しておかなくてはならないのが、「ルーラーシップ
」、支配星と支配される星座の関係性についてです。

12星座にはそれぞれ以下のような「支配星(ルーラーシップ)」が割り当てられています。

支配星リスト

  • 牡羊座:火星
  • 牡牛座:金星
  • 双子座:水星
  • 蟹座:月
  • 獅子座:太陽
  • 乙女座:水星
  • 天秤座:金星
  • 蠍座:火星(冥王星)
  • 射手座:木星
  • 山羊座:土星
  • 水瓶座:土星(天王星)
  • 魚座:木星

※天王星、海王星、冥王星はこの支配星の概念ができた後に発見された星なので、後付けで割り当てられています。

支配星と星座の関係性がいまいち覚えられん!という方のために、めちゃくちゃ簡単な覚え方をお伝えしておきます。

まず「月が蟹座で太陽が獅子座」という2つの組み合わせだけ記憶しましょう。

そして、ホロスコープチャート上で蟹座&獅子座の両隣の星座(双子座&乙女座)は水星、さらにその星座たちを挟む2つの星座(牡牛座&天秤座)は金星、と、蟹座&獅子座を中心に水・金・火・木・土の動きが早い天体順に挟み込んでいくように支配星は割り当てられていますよ。

さて、支配星(ルーラーシップ)と支配星座の関係性がわかったところで、本題の「ディスポジター」についての解説に入っていきます!

占星術ライターの石井ゆかりさんは、12星座を王国、支配星をその国の王様とよく例えてますが、分かりやすいのでここでその呼び名を使わせていただきます。

支配星(王様)は、たとえ他の国(星座)に外遊していたとしても、自分が支配している王国の管理者です。

王様は外国から自分の王国を、自分が今いる場所から受けている影響をもたらしながら管理します。

この自身の支配星座にいる星や割り当てられているハウスの管理をする支配星の事を「ディスポジター」と呼ぶんですね。

ありえない話ですが、エリザベス女王が日本に長期滞在したとしましょう。

エリザベス女王は英国にとってのディスポジター、日本の文化や慣習の影響を英国にもたらしながら統治している様な感じになるのです。

月が双子座、火星が蟹座にあるチャートの持ち主がいるとしたら、月は蟹座王国の王様ですから、自分が今滞在している双子座国の影響を蟹座国にもたらしながら統治します。

この時、蟹座にいる火星は月に「自分がどう振る舞うべきか?」アドバイスをもらうのです。

好奇心旺盛に飛び回る双子座の影響を受けた火星は、フラフラしがちだったり反応がよりスピーディーになったりするでしょう。

月がもし牡牛座にあったとしたら、火星は逆にじっくりじわじわ形作るような動きを見せてくれるようになるはずです。

参考文献:「占星術完全ガイド ――古典的技法から現代的解釈まで

ディスポジターでからっぽのハウスを読む方法

ディスポジターの概念が分かったところで、ここから「からっぽのハウスを読む技術」として応用していきましょう!

まず、こんな↓チャートの持ち主に、「ワイの恋愛運見てくれや」って依頼を受けたとしましょう。
ドナルド・トランプのホロスコープチャート
ちなみに、こちらはドナルド・トランプ大統領のホロスコープチャートでございます。

恋愛運かー。だったらパートナーシップの第7ハウスの状態を観ればいいよねー。

・・・・って、からっぽやんけ!!!

と、なった場合。

まず、第7ハウスの始まっている部分(カスプ)がどこの星座に位置するか観てください。

トランプ大統領の場合は、第7ハウスのカスプは【水瓶座29度】となってます。

・・・7ハウスほぼ魚座じゃねえか。

と、動揺しそうになりますが、ここはひとまず7ハウス・カスプは水瓶座として観ていきましょう。

水瓶座の支配星は【土星】です。(現代では天王星が水瓶座の支配星となってますが、ディスポジターは古典占星術の時代から在る読み方なので、天王星・海王星・冥王星を抜いた7つの星で観ていくのが一般的です)

じゃあ土星はチャートのどこで何をしてるのかなぁ?ってみると、

蟹座の11ハウスで金星とコンジャンクション(近接)してますねー。

  • 蟹座:母性・家庭的・感情的
  • 11ハウス:集団で物事を行う場所。友人関係。未来改革。
  • 金星とコンジャンクション:ワクワク感の強調

といった文化が、王様である土星から7ハウスにもたらされるわけです。

これらを踏まえて恋愛運を読むならば、

ワイワイ仲間内で楽しんだり活動したりしてる中で、感情的な結びつきにより、家庭的なリラックスしたムードの中で出会いや恋愛を発展させていく事ができるでしょう。

みたいな事が一例として言えそうですね。

じゃあ金運はどうなんだい?

って相談の場合には、第2ハウス(場合によっては第8ハウス)のカスプが位置する星座の支配星の状態を読むとか。

私の仕事傾向について教えてー!

なんて場合には、MC(第10ハウス)のカスプが位置する星座の支配星の状態を読む。

というのが、【ディスポジターをつかって、からっぽハウスを読むテクニック】となります。

ちなみに。トランプ大統領の7ハウスのカスプは水瓶座29度でしたが、「ハウスの境目はくっきりはっきり分かれておらずグラデーションのようになっている」という解釈が占星術界では一般的。

というわけで、実際の鑑定の場合は「7ハウス魚座」として読んでみても良いかと思いますよ!

まとめ

今回ご紹介した方法は、「ハウスからっぽでつかみどころなくて読めねー!うおー!!!」なんて困った時には使えるテクです。

一方、「7ハウス内にギッチギチに星が詰まってるのに、わざわざハウスカスプのディスポジターだけで恋愛傾向読む!」、みたいな方法を取る必要はないかと思いますが・・・。(←個人的な意見)

石井ゆかりの星占い教室のノート」という本では、「第2ハウスの星やカスプのディスポジターがどこにあるかで、「この人は稼いだお金を何に使うか」が判断できる」と書かれてました。

私自身の出生チャート、2ハウスはからっぽなのですがカスプは双子座。そして双子座支配星の水星は射手座にあります。

射手座のテーマである「旅行」「探究」「研究」に、たしかにお金使いまくってるなぁ・・・汗

なんて事に改めて気づいたのでした。

ディスポジターでのからっぽハウス読み、自分自身や身近な人々の新たな発見にもつながるのでぜひ試してみてくださいね!

2ハウスのカスプが射手座か魚座だったら・・・

ディスポジターが木星でめっちゃお金入ってきそうー!(うらやましい)

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